空気から人気が去って
野や山だけが残る
人の記憶の消え行く様だ

喧騒も情熱も 夢のまた夢
焦燥も悔恨も 立ち上る野焼きの煙

いずれ靄となり霞となり
ただ懐のぬくもりと手のかじかみと
コーヒーから上がる湯気のくゆり

「今見てる梢の葉の記憶もなぁ」

誰に語られることもなく
この身と共に滅びる幻かな

年明けにむっと押し寄せるだろう
上っ面な人気に辟易しながら
束の間の孤独に息を潜める